気密性が高い住宅のメリットとは?快適で省エネな住まいのポイント

1.換気の計画が重要

記事の概要はこちらの動画でも確認できます

  • 気密・断熱
  • 2025.6.18

気密性とは?住宅における気密性能の基本

まずはじめに、そもそも「気密」とはどのような意味なのか。どのようなものなのかについて学んでいきましょう。

気密性の定義

気密性の定義

引用元:https://www.ichijo.co.jp/technology/element/i-head_airproof/

気密性とは、外部と内部の空気の出入りを抑え、家全体の隙間を少なくしている状態を指します。隙間が少ないと、室内の空気が外に漏れにくく、外の空気が室内に入りにくいため、断熱性能が保たれます。

そして気密とは、気圧の変化の影響を受けないようにするために、密閉して気体の流れを妨げることを言います。お家の全体の隙間をなくし、「より密閉されている状態の家」のことを「気密性が高い家」と呼びます。

つまり気密を高めるということは、主に外から入る空気の流れを止めて室内の温度を一定に保つことを指します。逆に隙間が多い家の場合、温まりにくく、底冷えし、花粉や有害な科学物質が入り込んでいる可能性もあります。

気密性を表す「C値」とは?

気密性を表す「C値」とは?

引用元:https://www.ichijo.co.jp/technology/element/i-head_airproof/

C値の基準と理想値について解説。

気密性を表す数値として「隙間相当面積=C値」があり、C値とは、家中の隙間を集めた隙間面積(cm2)を延べ床面積(m2)で割ったもので、単位はcm2/m2で表します。

数値が低いほど隙間のない気密性能が高い家ということになります。

C値の値が小さいほど隙間が少なく、気密性が高い事を表しています。ちなみに、現在は基準値としては明記されなくなりましたが、平成14年までは地域ごとに、最低基準が定義されていました。

C値の理想値に関しては、以前までは、国が定めていた高気密住宅の基準は「5㎠/㎡以下(動画のときは隙間面積(cm2)を延べ床面積(m2)で割ったものが「5」という表現でOK)」でした。 現在、国が定めている高気密住宅の基準はありませんが、一般的に「1㎠/㎡以下」を指しますので最低限の目安にできるでしょう。 しかし、断熱性能や換気性能を考慮すると、C値の理想はできるだけゼロに近い数値ということになります。

気密性が高い住宅で重要な「換気」について

気密性が高い住宅で重要な「換気」について

気密性が高い住宅では、計画的な「換気」が必要になります。

換気が欠かせない理由としては、2つあります。

1つ目は、計画的な換気によって、室内に溜まった汚れた空気を排出し、新鮮な空気を取り入れることで快適性を保つためになります。

2つ目は、気密性の高い住宅では、シックハウス症候群の原因となる化学物質や細菌・カビ・ダニなどが室内に溜まりやすくなるため、換気によって有害物質の濃度を低下させる必要があります。

そのため気密性と換気はセットで考えることが重要になります。気密性が低いと、換気が均一に行われなかったり、スキマ風によって不規則に空気が入り込んだりして、換気経路が設計通りに機能しない可能性があります。

そのため、注文住宅や新築一戸建てでは、「24時間換気システム」の設置が義務化されています。「24時間換気システム」とは、機械によって住宅内の空気を室外の空気と入れ替え、新鮮な状態にする設備です。2003年の建築基準法改正により、シックハウス症候群によって起こる健康被害予防のために設置が義務化されました。原則としてすべての住宅に導入が義務付けられました。

24時間換気システムの主な役割は、室内の空気を1日中換気することです。室内の温度・湿度調節は基本的にはできません

最新の換気システムを導入することで、効率的に熱を排出し、室内を涼しく保つことができます。特に、全館空調や換気扇を適切に配置することが効果的です。

これらの対策を組み合わせることで、暑い夏でも快適に過ごせる家づくりが可能です。家づくりの段階でこれらの要素を取り入れることで、エネルギー効率も向上し、長期的なコスト削減にも繋がります。

気密性が高い住宅のメリット

続いては、住宅の気密性を高めるとどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

1. 冷暖房効率が良く、省エネになる

1. 冷暖房効率が良く、省エネになる

気密性が低い家は隙間の総量がA3用紙ほどあり、良い断熱材を使用しても断熱効果は半減します。断熱効果を100%発揮させるには、できるだけ外気の侵入を減らし密閉させることが重要です。高気密住宅は、理想の環境となり光熱費も安くなります。

高気密の家は、1年を通して快適な温度を保ちやすいため、エアコンの使用量が減ります。その理由は、外気の影響を受けにくく、快適な室内の温度が外に逃げにくいので少しの冷暖房で部屋を快適に保てるためです。

真夏に外が暑くても室内温度は影響を受けにくいため、エアコンが効きやすく、涼しさを保つことができます。また、冬も室内の暖かさが外へ漏れにくいことから、室温をキープしやすくなっています。

結果、エアコンの使用量が減り冷暖房費の節減につながるので、省エネ効果が高まります。

また人間だけでなく、愛犬や愛猫などの一緒に暮らすペットにとっても非常に過ごしやすいお家になります。環境にも優しい高気密・高断熱の家は、家族が快適に伸び伸びと過ごせることが期待できます。

2.室内の温度差が少なく、快適に過ごせる

室内の温度差が少なく、快適に過ごせる

引用元:https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/health-effects/index.html

家全体の温度が均一に保たれ、居心地が良い住環境を実現してくれます。

高気密住宅は、外気から無駄な湿気の流入が少ないため、梅雨時期は特に湿気の少なさを感じます。さらには洗濯物がよく乾きます。また、高気密住宅は、一酸化炭素が発生する石油ストーブの使用ができないことから、エアコンや全館空調を使用するため空気が乾燥します。梅雨の時期や花粉症の季節など洗濯物を部屋干したい時に、よく乾くことは大きなメリットです。

3.結露の発生を抑え、湿気対策ができる

3.結露の発生を抑え、湿気対策ができる

引用元:https://soken.misawa.co.jp/news/20220516/2395/

外部から湿気が入り込みにくく、結露やカビの発生を予防。

高気密の住宅は、十分に高い気密性と断熱性があり換気が効いている限り結露が発生しません。

まれに高気密・高断熱住宅は結露が発生するという人がいますが、結露が発生する原因は断熱性がそれほど高くない、または換気の問題である可能性が高いです。寝る前に暖房を切っても保温力により室内の温度を一定以上に保つので、翌朝結露しないのが高気密・高断熱住宅です。

4. 遮音性が高く、静かな住環境を実現できる

4. 遮音性が高く、静かな住環境を実現できる

外部の騒音を遮断し、家の中が静かで快適な空間になります。

気密性が低い家はたくさんの隙間が存在しており、室外の騒音を遮れず室内に届いてしまいます。隙間がない高気密住宅の場合、室外から室内に届く騒音だけでなく、室内から室外へ漏れる音も遮ってくれるので、騒音に対するストレスが低減します。

5. ヒートショックの予防につながる

5. ヒートショックの予防につながる

ヒートショック現象とは、住環境における急激な温度変化によって血圧が乱高下したり脈拍が変動したりする現象です。東京都健康長寿医療センター研究所によると「2011年、ヒートショックに関連した死亡者数は交通事故死者数を上回る」と発表されています。

高気密住宅では、温度差の少ない環境で、体への負担を軽減し健康リスクを低減させます。

高気密・高断熱住宅は「リビングは暖かいのに浴室が寒い」といった部屋ごとの温度差が少なくなるため、ヒートショックのリスクも回避できます。

気密性が高い住宅のデメリット

それでは逆に、住宅の気密性を高めるとどのようなデメリットがあるのかも合わせて見ていきましょう。

1.換気の計画が重要

1.換気の計画が重要

換気の部分でも解説しましたが、気密性が高い分、換気が不十分だと空気がこもりやすくなります。

高気密の住宅では、室内に空気が溜まりやすいため、化学物質やハウスダストが留まる可能性があり、シックハウス症候群を防ぐためにも十分な換気をすることが重要です。2003年以降に建てられた住宅においては、24時間換気システムの設置が建築基準法で義務付けられています。

また、24時間換気システムに頼るだけでなく、窓を時々開けるという換気方法も大変有効です。換気について常に意識しておくことが大切です。

2.施工の質が気密性能に影響する

2.施工の質が気密性能に影響する

引用元:https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001460573.pdf

高気密とは、壁や天井、床、サッシ(窓枠)、ドアなどの「間の隙間」がほとんどないことを指します。通常、どんなに腕のいい大工さんが建てた家でも、目に見えないようなちょっとした隙間が生じていることがあります。そのため家の中でも、夏は暑く冬は寒く感じることがあります。

そのため、施工の精度が低いと、期待する気密性能が発揮されない可能性もあります。

高気密の家になると、わずかな隙間でさえも気密テープや発泡ウレタンなどを使って、徹底的に隙間をなくすように施工されます。

さらに、隙間を確認できる気密検査をすることで、隙間からの空気の漏れがあるかどうかの確認も行う場合もあります。これをC値チェックといいます。気になる方は気密検査をしてみるのもいいでしょう。

3.コストが高くなる場合がある

3.コストが高くなる場合がある

高気密住宅は高性能な断熱材や設備が必要で、初期コストが上がることもあります。

まず気密性の高い住宅にするためには、隙間をなくすための窓、窓枠、サッシ、建材が必要になります。またそれに伴う技術力も伴います。また後ほど解説しますが、合わせて高断熱の住宅にするためにも、断熱材や気密テープ、遮熱性の高い窓ガラス(サッシ)などの建築資材や設備を導入する必要があるため、通常の住宅に比べて建築する際のコストが高くなりやすい傾向にあります。

気密性の定義とは?

気密性とは、外部と内部の空気の出入りを抑え、家全体の隙間を少なくしている状態を指します。隙間が少ないと、室内の空気が外に漏れにくく、外の空気が室内に入りにくいため、断熱性能が保たれます。

そして気密とは、気圧の変化の影響を受けないようにするために、密閉して気体の流れを妨げることを言います。お家の全体の隙間をなくし、「より密閉されている状態の家」のことを「気密性が高い家」と呼びます。

つまり気密を高めるということは、主に外から入る空気の流れを止めて室内の温度を一定に保つことを指します。逆に隙間が多い家の場合、温まりにくく、底冷えし、花粉や有害な科学物質が入り込んでいる可能性もあります。

まとめ|気密性が高い住宅で快適な暮らしを手に入れる

気密性に関しては、お家の隙間をいかに無くすかが気密性の高い家になるためには必要不可欠な要素になります。そして気密と断熱はセットにして考え、気密性能を高めるということは、必然的に断熱性能も高まるということになります。

まとめると、いかにお家の「隙間」をなくし=(イコール)「気密性を高め」、

いかにお家の「熱を伝わらなくし、熱を外に逃さないか」=(イコール)「断熱性を高める」かが、高気密・高断熱の実現には不可欠ということになります。

この記事に関連したよくある質問

住宅で気密性が高いメリットは?

これまで上記でも説明してきましたが、気密性が高まるメリットはいくつかあります。
その中でもやはり一番のメリットは、「省エネ性」にあります。
気密性が高い住まいは、できるだけ外気の侵入を減らし密閉させることが重要です。高気密住宅は、理想の環境となり光熱費も安くなります。
高気密の家は、1年を通して快適な温度を保ちやすいため、エアコンの使用量が減ります。その理由は、外気の影響を受けにくく、快適な室内の温度が外に逃げにくいので少しの冷暖房で部屋を快適に保てるためです。

真夏に外が暑くても室内温度は影響を受けにくいため、エアコンが効きやすく、涼しさを保つことができます。また、冬も室内の暖かさが外へ漏れにくいことから、室温をキープしやすくなっています。

結果、エアコンの使用量が減り冷暖房費の節減につながるので、省エネ効果が高まります。

気密性能が高いとどんなメリットがありますか?

省エネ性能のメリットについで、気密性が高まる恩恵は、健康面のメリットです。特に、 お部屋やお風呂場などの住環境において、どのお部屋も一定の温度を保つことができます。そしてそれは。ヒートショックの予防につながります。
高気密住宅では、温度差の少ない環境で、体への負担を軽減し健康リスクを低減させます。
高気密・高断熱住宅は「リビングは暖かいのに浴室が寒い」といった部屋ごとの温度差が少なくなるため、ヒートショックのリスクも回避できます。

高気密住宅のデメリットは?注意すべきポイントは?

・換気
換気の部分でも解説しましたが、気密性が高い分、換気が不十分だと空気がこもりやすくなります。
高気密の住宅では、室内に空気が溜まりやすいため、化学物質やハウスダストが留まる可能性があり、シックハウス症候群を防ぐためにも十分な換気をすることが重要です。2003年以降に建てられた住宅においては、24時間換気システムの設置が建築基準法で義務付けられています。
また、24時間換気システムに頼るだけでなく、窓を時々開けるという換気方法も大変有効です。換気について常に意識しておくことが大切です。

・施工による技術差
高気密とは、壁や天井、床、サッシ(窓枠)、ドアなどの「間の隙間」がほとんどないことを指します。通常、どんなに腕のいい大工さんが建てた家でも、目に見えないようなちょっとした隙間が生じていることがあります。そのため家の中でも、夏は暑く冬は寒く感じることがあります。
そのため、施工の精度が低いと、期待する気密性能が発揮されない可能性もあります。

高気密の家になると、わずかな隙間でさえも気密テープや発泡ウレタンなどを使って、徹底的に隙間をなくすように施工されます。
さらに、隙間を確認できる気密検査をすることで、隙間からの空気の漏れがあるかどうかの確認も行う場合もあります。これをC値チェックといいます。気になる方は気密検査をしてみるのもいいでしょう。

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