- 間取り
- 2025.11.14
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なぜ間取りは重要?暮らしの質と家族の未来を左右する理由

間取りの設計や選択が重要な理由は、単なる部屋の配置以上に、「暮らしの質」と「家族の未来」そのものを左右する、人生レベルの設計図だからです。
以下その理由を、暮らし・家族の視点から具体的に解説します。
1. 間取りは「暮らしの質」を決める土台

・動線が暮らしやすさを左右する
間取りによって、洗濯・料理・片付けなどの家事が「時短」になるか「ストレス」になるかが変わります。
そのため、間取りの設計においては、生活動線と家事動線をイメージした設計が重要になります。生活動線がスムーズな家では、毎日の積み重ねが楽になり、日々の暮らしの質が上がるといえます。
・ 光・風・温度も間取り次第
日当たり・風通し・断熱効率も、窓の配置・部屋の向きで大きく変わります。
快適な室温、健康的な湿度環境、自然光に包まれる空間は、住む人の気分や健康にも直結します。そのため、採光・通風・室温にも配慮した間取りづくりが必要になります。
2. 間取りは「家族のつながり方」をつくる

・コミュニケーションの量と質に影響
間取りは、家族との円滑なコミュニケーションにも関係します。LDKの配置、リビング階段、中庭などの工夫により、家族が自然と顔を合わせる暮らしが生まれます。
逆に孤立する間取りだと、気配が感じられず、同じく生活していてもすれ違いが増えるケースもあり得ます。
・家族構成やライフステージに応じて「可変性」が大事
間取りの大事な要素として、柔軟に対応可能な間取りかどうかがポイントになります。子育て期・思春期・巣立ち・老後…などライフステージに合わせて柔軟に対応できる間取りは、長く快適に住み続けられます。
間仕切り・将来の2部屋化・親との同居などを見越した設計が「未来の安心」につながります。
間取りづくりの第一歩!家族の「今」と「未来」を可視化する3ステップ
いざ間取りをつくる、設計するとなると、何をどこからどのように進めればいいの?と疑問を持たれてる方も多いと思います。そこでここからは、間取りづくりのステップについてご紹介したいと思います。
STEP1:家族構成とライフスタイルを徹底的に洗い出す

間取りづくりにおいて、家族構成とライフスタイルを徹底的に洗い出すことは、後悔のない住まいを実現するための最も重要なステップといえます。
・現在の不便・不満の洗い出し
今住んでいる家や以前の住まいで感じていた、間取りに関する不満や不便な点を家族全員でリストアップします。
例えば、部屋数が足りない、収納が狭い、日当たりが悪い、家事動線が悪い(洗濯が大変)、生活音が気になるなど。
・理想の暮らし方・希望のリストアップ
新しい家で「どんな暮らしがしたいか」を具体的に想像し、希望をリスト化します。
「家事の時短ができる間取りにしたい」、「趣味のスペースが欲しい」、「家族が集まれる広いリビングが欲しい」、「在宅ワーク用のスペースが必要」など、まずはできるできないは考えず、理想や希望を出し合ってみましょう。
また、将来の変化も見据え、子供の成長、親との同居の可能性、在宅ワークの増加など、5年後、10年後のライフステージも想像しておくとより良いでしょう。
STEP2:1日のタイムスケジュールから理想の暮らしをイメージする

次に、家族の1日の過ごし方をタイムスケジュールや動き方で具体的に書き出してみましょう。
・現在のライフスタイル(行動)の把握
家族一人ひとりの1日の行動を時間ごとに書き出して、生活動線を可視化します。
<起床から就寝まで>
朝の身支度(洗面所・トイレの混雑状況)
家事の動線(洗濯、料理、片付け)
くつろぎ方(リビングで何をするか、個室で過ごすか)
帰宅後の流れ(手洗い・着替え・荷物置き場)
STEP3:家族会議で要望の「優先順位」を決める

具体的にお家の土地や建物の広さが決まり出してきたら、これまでにまとめた家族の希望リストや1日の過ごし方において外せないポイントなどを整理しましょう。
そして、希望の暮らし方に「優先順位」付けをしていきましょう。
リストアップした希望全てを叶えるのは難しいため、家族で話し合い、優先順位をつけます。
ストレスフリーな毎日を!3つの「動線」で考える間取りのコツ
はじめにも解説しましたが、「暮らしの質」を向上するためには、「動線」の設計が必要不可欠になります。逆に言うと、この「動線」の設計を間違えてしまうと後悔することになります。では、どのように工夫すればストレスフリーな暮らし方を実現できるのか、ポイントを整理して見ていきましょう。
家事の効率が劇的にアップする「家事動線」

家事の効率を劇的にアップさせる「家事動線」は、間取りづくりの最重要課題の一つです。そして、家事動線を考える上で核となるのは、水回り(キッチン、洗面所、浴室)と洗濯動線、そして収納の配置です。
家事動線は、単に移動距離を短くするだけでなく、複数の家事を同時に進める「ながら家事」や、家族全員が片付けやすくなる「仕組みづくり」が重要です。
無駄な動きをなくし家族がスムーズに動ける「生活動線」

家族がスムーズに動ける「生活動線」は、日々のストレスを減らし、家族の快適性を劇的に高める上で非常に重要です。
生活動線は、先にご紹介した家事動線(洗濯・料理)以外の、通勤・通学、身支度、くつろぎ、就寝など、家族一人ひとりの日常の動きを指します。
そして「生活動線」を向上させるためのポイントとして、
・「使う場所の近く」の収納(収納動線)
生活動線がスムーズでも、モノの定位置が遠いと、すぐに「ちょい置き」が発生し、動線の妨げになります。そのため収納はできるだけ「使う場所の近く」に設けると負担が軽減されます。
・「回遊性」を意識した間取り
回遊性とは、人がスムーズにお部屋や空間に妨げなく移動できることを言います。
この「回遊性」は無駄な動きを最も少なくする鍵となります。
ご家族の朝の行動、帰宅後の行動を具体的にシミュレーションしてみて、特にどの動線に課題がありそうか、考えてみましょう。
プライバシーを守り、おもてなしも快適な「来客動線」

動線づくりにおいて、特に来客が多い世帯では、「来客時」の動線を考えることもおすすめです。そのポイントとして、「来客動線と家族動線の分離」というものがあります。
家族のプライベートを守りつつ、来客を迎え入れる動線です。
見せたくない動線を隠すために、 来客が玄関からリビングへ向かう際に、散らかりがちなキッチンや生活スペースの奥が見えないように、視線が抜けない配置を工夫します。
また、来客用トイレを分けて別に設けるのもおすすめです。来客動線上にトイレを配置し、家族のプライベート空間(洗面所・脱衣所など)を通らずに利用できるようにすると、お互いにストレスがありません。
快適な空間をつくる!プロがこだわる4つの設計ポイント
ではここからは、快適な空間をつくるための設計ポイントについてみていきましょう。ハウスメーカーや設計担当者のアドバイスを元にこちらではポイントをご紹介します。
「使う場所の近く」が鉄則!適材適所の収納計画

生活動線のところでも軽く解説しましたが、生活動線がいくらスムーズでも、適材適所の収納場所がなければストレスになることもあります、そして収納するモノの定位置が遠いと、すぐに「ちょい置き」が発生し、動線の妨げになります。
・適材適所の収納
掃除道具は、各階の廊下収納や洗面所など、すぐに手に取れる場所に。
日用品のストックは、使用頻度に応じて動線上の棚などに分散して配置します。
キッチンまわり(食材やキッチン用品など)のモノはパントリーを設けて、近くに収納。
洗面脱衣室の動線上にタオルや下着をしまえるリネン庫があれば、お風呂上がりの動きがスムーズ。
玄関のおかえり動線上にクロークがあれば、上着をリビングまで持ち込むこともありません。
など、その場所その場所に適した収納場所を設けましょう。
明るく心地よい家に!自然の光と風を取り込む窓の計画

明るく心地よい家づくりにおいて、窓の計画は、単なる採光・換気だけでなく、住まいの快適性、省エネ性、デザイン性に直結する最も重要な要素です。
自然の光と風を最大限に取り込むための、計画のポイントをまとめます。
<採光計画明>るさと心地よさを両立する
・方角による光の特性を理解する
窓の配置は、光の入り方、室温への影響を大きく左右します。東西南北どの方角に窓を配置させるかによって、お家全体の明るさが大きく変わります。また、窓の方角に合った間取りも不可欠です。例えば、寝室の窓を南向きにするのか北向きにするのか。リビングはどの方角にするのかなど、お部屋も意識した窓の配置が大事になります。
<通風計画>自然の風を取り込み涼感を高める
風の「入口」と「出口」を対角線上に設ける
効果的に風を取り込むための基本は、部屋の対面(対角線上)に、風の「入口となる窓」と「出口となる窓」を設けることです。
また風の通り道を作るには、 窓同士が離れているほど、室内に風の流れ(通風)ができやすくなります。
また見落としがちなのが、お家を建てるエリアやその土地その地域の卓越風を考慮する必要もあります。 敷地の風向き(主に夏の風向き)を建築家に伝え、風上に大きな開口部、風下に小さな窓を配置するとより効果的です。
・窓の形状と開閉方向を使い分ける
窓の開き方によって、風の取り込み方に差が出ます。
縦すべり出し窓:
窓が外側に開くことで、壁に沿って流れる風を室内に取り込む集風効果があります。風が強い日に少し開けるだけでも換気が可能です。
横すべり出し窓:
窓の上部が庇(ひさし)のようになるため、雨の日でも開けて換気しやすいのが大きなメリットです。
ご近所の視線や生活音は?プライバシーと防音性の確保

間取りづくりにおけるプライバシーと防音性の確保は、ご近所との快適な関係と、家族のストレスのない生活のために非常に重要です。
窓の配置と高さの工夫
・隣家と正対を避ける
隣の家の窓と自分の家のリビングや寝室の窓が真正面から向かい合わないように、窓をずらすことが基本です。
・ハイサイドライト(高窓)の活用
天井近くの高い位置に横長の窓を設置します。
外からの視線を気にせず、安定した自然光を長時間取り込めます。夜間も部屋の奥まで見えにくく安心です。
・地窓(足元窓)の活用
床に近い低い位置に窓を設けます。
外部の視線はシャットアウトしつつ、足元から光を取り込み、庭の景色などを楽しめます。
建物の形状と外構による目隠し
間取りだけでなく、敷地全体で視線をコントロールします。
・中庭、コートハウス型
建物が外部を囲むように配置することで、外部からの視線を完全に遮りつつ、中庭に向けて大きな窓を開放でき、光と開放感を得られます。
・玄関の位置
道路から玄関の中や廊下が直接見えないよう、奥まった位置に配置したり、壁や植栽で視線を遮ったりします。
・フェンス、植栽の設置
ルーバーフェンスやスリットフェンス: 完全に遮断するのではなく、光や風を通しつつ、見る角度によって視線を遮る効果があります。
将来も安心!ライフステージの変化に対応できる柔軟性

引用元:SUUMOより
何十年と住み続ける大切な「住まい」だからこそ、「今」の暮らしやすさだけでなく、10年後、20年後の家族の変化まで見据えて計画することが、将来の後悔を防ぐ鍵となります。
お子様が、独立して家を巣立っていく日も来ます。その時に、使われなくなった子供部屋がただの物置になってしまうのは少し寂しいですよね。そこで重要になるのが「可変性」のある間取りです。
例えば、お子様が小さいうちは広い一部屋として使い、成長に合わせて間仕切り壁や収納家具で二部屋に分けられるように設計しておく。そして、お子様が独立した後は、再び間仕切りをなくして、ご夫婦の趣味の部屋や広いゲストルームとして活用する、といった工夫です。あらかじめドアやコンセントを二部屋分設置しておくのがポイント。こうした柔軟な発想や設計がポイントなります。
【先輩たちの失敗談】間取りで後悔していることランキング
ここからは、これまでにお家を建てた先輩方の失敗談について、ランキング形式でご紹介します。おうちづくりを失敗しないためにも、ぜひ参考にされてみてください。
1位:コンセントが足りない・位置が悪い
失敗談の上位でいつも耳にするのが「コンセント」や「電気系統の配線」になります。
「必要な場所にコンセントがなかった」
「コンセント同士が遠く、タコ足配線が必要」
「キッチンまわりのコンセント数が全然足りない」
など、とても多くの方が失敗談としてあげます。コンセントは多くあっても困りません。コンセントの配置や数には十分気をつけましょう。
2位:収納が少ない・使いにくい
コンセントの失敗談と並んで挙げられるのが「収納」に関しての失敗です。そもそも収納数が少ないケースはとても多いですが、収納場所を考慮に入れておらず、収納が使いにくい、収納場所が遠いなどの意見もあります。
前段で解説した通り、「適材適所」の収納設置を心がけましょう。
3位:生活動線・家事動線が悪い
この失敗談も非常に多くの方から寄せられます。この記事でも解説してきましたが、「生活動線」と「家事動線」はお家づくりにおいて、間取りづくりにおいて「生命線」といっても過言ではありません。お家の外観デザインや内装を選択するよりも一番最初に検討する必要があります。「私は大丈夫」と思っていた方の多くが後悔しているので、「動線」については何度でも考慮しましょう。
4位:部屋が思ったより暗い・風通しが悪い
窓の位置や風通しを考慮したのに、思ったような日当たりや風通しが確保されないケースがあります。この問題を解決するためには、建てる地域やエリアの春夏秋冬の気候、風の吹き方を考慮する必要があります。また、設計だけではわからない場合もあります。建てるエリアの現地に行って何度も確認することをおすすめします。
5位:音や匂いが気になる
吹き抜けのリビングもそうですが、リビングはお家の中心に作られることが多く、ダイニングやその他のお部屋と行き来しやすいように、リビングにつなげて間取りを設計することがほとんどです。吹き抜けは縦に、ダイニングリビングは横に、空間が広がっているので、1階の音が2階に響きやすくなったり。お部屋の匂いが隣の空間まで広がってしまったり、ということがあります。
特に、リビングの間取りづくりにおいては「音」や「匂い」も考慮するように心掛けましよう。
この記事に関連したよくある質問
- 間取りを考えるとき、まず何から手をつければいいですか?
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失敗しないための最初のステップは、「漠然とした理想」を「具体的な要望」に落とし込み、優先順位を決めることです。こちらの記事でもご紹介しましたが、「希望の洗い出し」→「家族のライフスタイルの確認」→「優先順位付け」のステップをおすすめします。
- 家族と意見がまとまらない時はどうすればいいですか?
-
家族で間取りの意見がまとまらないのは、人生で最も大きな買い物の一つですから、どの家庭でも必ずと言っていいほど直面する、ごく自然なことです。
喧嘩になることを恐れず、むしろ「意見の対立は、より良い家づくりのための重要なプロセスだ」と捉えることが大切です。
- 狭い土地でも快適な間取りは作れますか?
-
はい、作れます。土地の広さよりも、設計の工夫が重要です。例えば、廊下を極力なくしてリビングを広く取り、そこを生活動線の中心にしたり、スキップフロア(中二階)などを活用して縦の空間を有効活用したりすることで、コンパクトながらもスムーズな動線を確保できます。特に、回遊性を持たせるなどの工夫は、狭小住宅でこそ効果を発揮します。経験豊富なハウスメーカーの設計士にご相談いただくのがおすすめです。
- 良い間取りと悪い間取り、一番の違いは何ですか?
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良い間取りと悪い間取りの一番の違いは、「住む人(家族)の生活に、どれだけ寄り添えているか」、つまり、その家族にとっての快適な生活動線と価値観を実現できているかどうかです。
言い換えれば、間取りの設計意図と、住む家族の生活習慣が一致しているかどうかです。
- ハウスメーカーや設計士さんに、要望をうまく伝えるコツはありますか?
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ハウスメーカーや設計士さんに要望をうまく伝えるには、「何を(What)」伝えたいかよりも、「なぜそうしたいのか(Why)」という理由や背景にある価値観を伝えることが最も重要です。また具体的なコツとしては、相談する前に「チェックリスト」や「相談リスト」などを作成しておくのもいいでしょう。
- 「間取りで後悔しない」ために、一番大切なことは何だと思いますか?
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「間取りで後悔しない」ために、一番大切なことは、「設計のプロセスの初期段階で、家族のライフスタイルと価値観を徹底的に洗い出し、それを『絶対的な判断基準』として設定し、ブレずに進めること」だと考えます。