【変形地・造成地・狭小地】後悔しない土地選びの教科書|デメリットをメリットに変える賢い選択術

【造成地】安全性は大丈夫?擁壁(ようへき)・高低差・水はけの確認方法
  • その他
  • 2025.11.14

Contents

まずは基本から!どんな土地でも共通する4つの必須チェックポイント

どんな土地を選ぶ際にも共通する、絶対に欠かせない4つの必須チェックポイントについて、具体的な確認事項を解説します。これらのポイントは、後からお金をかけても変えられない部分や、大損につながるリスクを避けるために重要なのでチェックしましょう。

ポイント1:理想の家は建てられる?建築規制(建ぺい率・接道義務など)の確認

ポイント1:理想の家は建てられる?建築規制(建ぺい率・接道義務など)の確認

引用元:SUUMO

土地を購入しても、法律や地域のルールで建てられる建物の大きさや高さには制限があります。これを無視すると、希望の間取りが実現できず、大損につながります。

・建ぺい率と容積率

建ぺい率は、敷地面積に対する建物の建築面積(真上から見たときの面積)の割合の上限です。容積率は、敷地面積に対する建物の延床面積(各階の床面積の合計)の割合の上限です。これらの制限により、建てられる建物の最大サイズが決まります。

・接道義務

建築基準法上の幅4m以上の道路に、敷地が2m以上接していることが義務付けられています。これがない土地は「再建築不可」となり、建て替えができず資産価値が極端に低くなります。

・高さ制限と斜線制限

北側斜線制限や日影規制などにより、隣家の日当たりを確保するため、建物の高さや形状に制限がかかります。

ポイント2:追加費用は大丈夫?水道・ガス・電気のインフラ整備状況

ポイント2:追加費用は大丈夫?水道・ガス・電気のインフラ整備状況

土地代金とは別に、ライフラインの整備状況によって数百万円単位の追加費用が発生する可能性があります。

・水道、下水道

前面道路に水道管や下水道管の本管が来ているかがチェック項目になります。

本管から敷地内へ引き込む工事が必要な場合、その距離と費用(数十万円〜)を確認します。

特に、公設下水道が未整備の場合は、浄化槽の設置が必要となり、ランニングコストもかかります。

・ガス

都市ガスか、プロパンガスかを確認します。プロパンガスの方がガス代は高くなります。

都市ガスエリアでも、前面道路にガス管がない場合は、引き込み工事費用がかかります。

・電気・通信

電柱からの引き込みが可能かを確認します。大きな問題になることは稀ですが、インターネット回線の状況(光ファイバーの有無)も確認しておくと安心です。

ポイント3:快適な暮らしの鍵!日当たり・風通し・土地の高低差

ポイント3:快適な暮らしの鍵!日当たり・風通し・土地の高低差

引用元:https://shinku-glass.jp/contents/knowledge/afternoonsun/

これらは住んでからの快適性に直結しますが、間取りの工夫だけでは解決できない場合があります。

・日当たりと風通し

時間帯と季節を変えて現地を訪問し、周辺の建物(特に南側や西側の建物)の影がどの程度影響するかを確認します。

「夏の西日」が入るかどうかも重要です。

設計士に日照シミュレーションを依頼すると確実です。

・土地の高低差

土地が高低差のあるひな壇の場合、擁壁(ようへき)の有無と状態を確認します。古い擁壁は修繕や作り直しに高額な費用がかかる可能性があります。

前面道路より低すぎる土地(低地)は、雨水や隣地からの水が流れ込みやすく、浸水リスクが高くなります。

ポイント4:住んでから後悔しないために!周辺環境(騒音・交通量・ゴミ置き場)

ポイント4:住んでから後悔しないために!周辺環境(騒音・交通量・ゴミ置き場)

見落としがちですが、毎日のストレスに繋がる外部要因を徹底的に調べます。

・騒音と振動

時間帯を変えて現地に行き、交通量(幹線道路、線路)や、近くの工場・店舗から発生する騒音や振動がないかを確認します。

・交通量と安全性

朝夕の抜け道になっていないか、夜間の車のスピードはどうかを確認します。特に子供の通学路の安全性は最重要項目になります。

・嫌悪施設の有無

ゴミ処理場、大規模なパチンコ店、ラブホテル、高圧線、墓地など、心理的または環境的に嫌悪感を持つ施設がないかを確認します。

・ゴミ置き場と管理

指定のゴミ置き場の場所と、管理状態(清潔さ、臭い)を確認します。近隣の生活マナーを知る手がかりにもなります。

【土地タイプ別】メリット・デメリットと確認ポイント

土地の形状や状態によって、メリットとデメリットが存在します。そして土地のタイプによっては、契約前に確認すべきポイントは大きく異なります。

ここでは、特に注意が必要な3つの土地タイプについて、その特徴をメリット、デメリットから見ていきましょう。

【変形地】設計力で個性が光る!建物配置のコツ

【変形地】設計力で個性が光る!建物配置のコツ

引用元:SUUMO

変形地(不整形地)は、三角形や台形、旗竿地など、標準的な四角形ではない土地を指します。価格が安いメリットがありますが、設計の難易度が高いのが特徴です。

<メリット>

・価格が安い

 周辺の整形地よりも割安に購入できることが多い

・個性的なデザイン

形状を活かし、他にはない独創的な家を建てられる

<デメリット>

・デッドスペース

間取り次第では家具が置きにくく、無駄な空間ができやすい

・採光・通風の確保

道路からの距離や隣家の配置により、難しくなる場合がある

【造成地】安全性は大丈夫?擁壁(ようへき)・高低差・水はけの確認方法

【造成地】安全性は大丈夫?擁壁(ようへき)・高低差・水はけの確認方法

造成地は、もともとあった土地に盛土や切土を行い、平坦に整地された土地です。高台のニュータウンなどで多く見られます。

<メリット>

・区画整理されていて、きれい

整形地が多く、ライフラインも整備済みの場合が多い。

日当たり・眺望が良い

高台に位置することが多く、日当たりや眺望に優れる。

<デメリット>

・地盤沈下の可能性

盛土(土を足した部分)の場合、時間が経つと沈下するリスクがある。

・擁壁のメンテナンス費

高低差がある場合、擁壁の維持管理や修繕費用が発生する。

<確認すべきこと>

・擁壁の安全性と法適合性

擁壁にひび割れ、ふくらみ、傾きがないかをチェック。

擁壁が建築基準法に適合しているかを示す「検査済証」があるか、不動産会社を通じて確認します。古い擁壁は、修繕や作り直しに数百万かかるリスクがあります。

・水はけと排水設備

傾斜地や低地の場合、雨水や隣地からの水が流れ込まないか、適切な排水設備(排水溝など)が整備されているかを確認します。

【狭小地】3階建ても可能?建築に必要な道路幅と隣家とのプライバシー確保が鍵

【狭小地】3階建ても可能?建築に必要な道路幅と隣家とのプライバシー確保が鍵

狭小地は、一般的に15~20坪(約50~66㎡)以下の、比較的面積の小さい土地を指します。最近では、都市部で多く見られます。

<メリット>

・価格が安い

土地代が抑えられるため、都心部でもマイホームを持ちやすい。

・固定資産税が安い

土地の評価額が低いため、税負担が抑えられる。

<デメリット>

・建築コストが高くなることがある

狭い土地での工事は資材搬入や作業効率が悪く、坪単価が割高になりやすい。

・プライバシーの確保が難しい

隣家との距離が近く、窓の位置や生活音が気になりやすい。

<確認すべきこと>

・建ぺい率と延床面積の確認

狭小地では、3階建てを検討することが多いですが、容積率で最大面積が制限されます。何階建てで、何平米まで建てられるかを正確に確認しましょう。

また、準防火地域の場合、防火構造にする必要があり、さらに建築費が上がります。

・道路幅と建築法規

道路幅が狭い場合、建築工事中に「道路占用許可」や「特定車両の通行許可」が必要になる場合があります。これにより、建築期間が伸びたり、費用が増加したりします。

・隣家との距離と窓の位置

隣家との距離が近いため、事前に設計士と窓の位置や高窓の活用法を検討し、プライバシーと採光を両立できるかを確認しておきましょう。

安くても要注意!プロが教える「買ってはいけない土地」の特徴

安価な土地には大きな魅力がありますが、その価格には必ず理由があります。

安さに惑わされて後悔しないよう、プロの視点から特に「買ってはいけない、あるいは専門家の慎重な調査が必要な土地」の特徴を簡潔にまとめます。

安全に関わる「災害リスク」が高く、対策費用がかさむ土地

安全に関わる「災害リスク」が高く、対策費用がかさむ土地

「災害リスク」のある土地は、いくらお金をかけても解決が難しく、家族の安全や将来の資産形成に直結します。

・ハザードマップで「災害リスク大」

・地盤調査費用が青天井のリスク

・危険な擁壁(ようへき)がある

このような特徴がある土地はおすすめできません。できるだけ避けたほうが良いと言えます。

法律で家が建てられない、または建て替えができない「再建築不可」の土地

法律で家が建てられない、または建て替えができない「再建築不可」の土地

建築基準法上の「幅4m以上の道路に2m以上接している」という接道義務を満たさない土地は、今ある建物を壊すと二度と新しく建てられません。将来の売却や建て替えが極めて困難になります。

ほとんどの場合は、販売図面に「再建築不可」と記載されていることが多いですが、販売会社によってはあえて表記していないケースもありますので注意が必要です

 将来的に高額な工事費用がかかる「インフラ未整備」の土地

 将来的に高額な工事費用がかかる「インフラ未整備」の土地

敷地前面の道路に水道・下水・ガスの本管が来ておらず、高額な引き込み工事費用が自己負担となる土地のことを「インフラ未整備の土地」といいます。

上下水道や都市ガスが敷地の前面道路まで来ていない場合、引き込み工事(数十万円〜数百万円)が自己負担となります。高額な費用になる場合もあるため、事前確認が必須になります。

不動産会社に、「公道のどこまで」ライフラインが整備されているかを具体的に確認しましょう。特に「前面道路に本管があるか」が重要です。

隣地との境界が曖昧など「近隣トラブル」が予想される土地

隣地との境界が曖昧など「近隣トラブル」が予想される土地

引用元:SUUMOより

「自分の敷地のブロック塀と思っていたら、お隣さんが自分の敷地と主張してきた」というような境界線が曖昧な土地でのトラブルはとても多く起こっています。

境界線は民事上の問題であり、トラブルになると訴訟などの法的な争いに発展し、解決に時間と費用がかかる場合があります。境界が曖昧な土地や近隣との境がはっきりしない土地を選ぶのは得策ではありません。

どうしても仕方ない場合は、「境界杭」の有無を確認し、もし不明確な場合は、売主に土地家屋調査士による境界確定測量を依頼してもらい、隣地所有者との間で合意を得た状態で引き渡してもらいましょう。

もう迷わない!土地選びの「優先順位」と「妥協点」の上手な見つけ方

土地選びの成功は、後悔のない家づくりの成否を分ける非常に重要なプロセスです。

「もう迷わない!」よう、ご家族の意見を整理し、賢く妥協するためのステップを解説します。

「絶対に譲れない条件」を家族でリストアップする方法

「絶対に譲れない条件」を家族でリストアップする方法

絶対に譲れない条件をリストアップするためには、個人と家族のMUST条件をリストアップする方法がいいでしょう。

そしてリストアップする際には以下の点に注意しましょう。

・安全、安心

「災害リスクが極端に低いこと」「通学路に危険な場所がないこと」

・時間、利便性

「駅まで徒歩15分以内であること」「スーパーまで徒歩5分以内であること」

・環境、心地よさ

「隣接地に工場や幹線道路がないこと(騒音NG)」「日当たりを確保できること」

・建物への影響

「再建築が可能であること」「旗竿地や極端な変形地ではないこと」

この4つの項目は、「優先順位」が高く「妥協できない」点でもあります。この4つを網羅できているかを議論しましょう。

「立地」「広さ」「価格」「環境」あなたにとって一番大切なのは?

「立地」「広さ」「価格」「環境」あなたにとって一番大切なのは?

土地選びの4大要素は、常にトレードオフの関係にあります。ご家族にとっての「最優先の価値観」を明確にすることで、迷いがなくなります。

家族間、夫婦間の価値観を共有し、TOP3に絞り込み、対立する項目について、「なぜそれが譲れないのか」という理由(価値観)を話し合い、最終的に「この土地にはこれだけは必須」という譲れない条件のTOP3を決定しましょう。

完璧な土地はない!後悔しないための上手な妥協点の探し方

後悔の少ない妥協とは、「変えられないもの」は守り、「工夫で変えられるもの」を受け入れることです。以下、工夫で変えられるものとそうでないものの一覧になります。

許容できる妥協点(工夫で変えられるもの)妥協すべきでない条件(お金で解決できないもの)
変形地・旗竿地再建築不可、またはハザードマップのリスク。
北側道路騒音・悪臭など、QOLを著しく下げる周辺環境。
日当たりの難しさ地盤沈下リスクが極端に高い履歴を持つ土地。
インフラの引き込み費用隣地との境界が未確定で、トラブルの火種がある。

この記事に関連したよくある質問

変形地や狭小地だと、建築費用は高くなりますか?

はい、高くなります。
変形地や狭小地は、土地代が割安になるメリットがある反面、建築のプロセスで特殊な費用が発生しやすく、結果的に建物にかかる坪単価が割高になる傾向があります。

これは、土地の形状や狭さが原因で、通常の整形地・広さの土地では発生しない手間や工法が必要になるためです。

土地の価格交渉はできますか?交渉するならどのタイミングがベスト?

はい、土地の価格交渉は基本的に可能です。
不動産取引において価格交渉は一般的であり、特に売却を急いでいる売主や、市場に出してから時間が経っている土地であれば、交渉が成立する可能性は高まります。

タイミング的には、
・市場に出してから時間が経過している土地
・売主の事情で売却を急いでいる場合
・土地に明確なデメリットがある場合

などがあります。

良い土地と悪い土地を、素人が見分ける簡単な方法はありますか?

はい、専門的な調査が必要な要素を除き、素人でも現地で簡単にチェックでき、住み始めてからの快適さに直結する「良い土地」と「悪い土地」を見分ける方法はあります。

・徒歩で周辺環境を体験する(生活動線と騒音チェック)
・南側の状況を確認する(日照・風通しチェック)
・敷地の境界と高低差をチェックする(トラブルリスクチェック)

などがあります。

最終的に2つの土地で迷った時の、後悔しない決め手は何ですか?

最終的に2つの土地で迷った時、どちらを選んでも後悔が残るのではないかと不安になるのは自然なことです。しかし、この段階まで絞り込めているなら、どちらの土地もご家族の**MUST条件(絶対条件)**を多く満たしているはずです。

後悔しないための決め手は、**「客観的なリスクの少なさ」と「主観的な家族の価値観」**の2軸で、徹底的に比較検討することです。

土地選びで一番「気をつけること」を一つだけ挙げるとしたら何ですか?

土地選びで一番「気をつけること」を一つだけ挙げるとしたら、それは、「ハザードマップや地盤の安全性など、お金や設計の工夫で『後から変えることができない』致命的なリスクを絶対に避けること」です。

こういう土地を上手に活かせる、良い設計士さんや工務店を見つけるには?

過去の「実績」と「専門性」を確認するといいでしょう。
その設計士・工務店が、「旗竿地」「狭小地」「変形地」など、あなたの土地タイプと似た条件の建築事例を豊富に持っているかを確認します。
またその際、設計の工夫を見ましょう。事例を見て、単に家を建てただけでなく、土地のデメリットを解決する工夫が見られるかをチェックします。

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